水彩画の着色工程

構図を決める

絵を描く際に大事なのは構図。風景画の場合はどう切り取るかで印象は変わる。時には実際の風景をアレンジして描くこともあるので、時間に余裕があるときは小さな紙に鉛筆で形だけでなく色の濃淡を表してみる。この段階で色のバランスを決めるので、毎回やればいいのだけれど、心魅かれた風景を前にすると、私は下準備をせずに描き始めてしまうことも多い。

練習用に描いたもの
白黒の鉛筆書きメモ

着色の順番を考える

本番の水彩用紙に鉛筆で軽く下書きをしたら、色を塗る順番を考える。マスキングをする場合はどの段階で始めて、いつ剝がすのかも頭に入れておかねばならない。
私は空や遠景の山から塗り始めることが多い。水彩画の基本としては薄い色から入れ始め、徐々に濃くしていく。重ね塗りは必須なので、空も何度かに分けて塗ることもある。

近景から遠景までをA~Fに分けた

今回の例では、近景の梅の花から空までを近い順にA~Gとしてみた。
Cの梅の木々が重なっている部分が難しくチャレンジになるとみたので、割合早い段階で塗り始めてみる。以下が頭の中で組み立てた工程。色味もメモしておく。
① Aを初めにマスキングする。
② B~Cのふわっとした梅の色を入れる
③ F遠景の山
④ G空
⑤ E左の山(比較的濃いめ)
⑥ D右の山
⑦ C梅の木々の根元
⑧ Bの影
⑨ Aマスキングを剥がして、花から描く
⑩ AとBの枝

以上があらかじめ考えていた工程だが、実際塗り始めると、もちろん③~⑧で行きつ戻りつする。B・Cのふわっとした梅の木々も、何度も重ね塗りをしているし、Bの枝は⑧の段階で描き込んだ。また梅の木々の地面は、気に入らなかったのでAのマスキングを剥がす前に一度消して塗りなおしている。
この絵の場合は⑨に入る前に一晩寝かすことにした。疲れた時に塗り続けるとどうしても雑になってしまう自分の悪癖を知っているからだ。

上がマスキングをはずしたところ。下はマスキングのまま。

時間をおくことも大切

水彩画はどうしても滲むので、乾くのを待つ間に別の場所を塗ったりしているうちに、予め決めていた順番が狂うこともある。私の場合、塗り始めは少しずつ手を入れているのに、興が乗る2割くらいから8割くらいまでを集中してどんどん描き進めてしまう。
集中して8割がた描くと疲れてしまうので、一旦手をとめ、別のことをしてしばらく寝かす。心を入れ替えて見直すと、気に入らない点などが見えてくるので、時間をおくことは大事。

私の教室でも生徒さんがずっと筆を動かしていると「乾かす時間を持ちましょう」と声をかける。水彩画は水を使うので、画用紙が含む水分にも限界があり、これ以上絵具(色)が入らない、という瞬間がくる。そんなときは乾いてから色を置けば良い。

結局、仕上がった梅の絵も気に入らなかったので、このブログで着色する順番を紹介するにとどめ、再チャレンジするつもり。