現場スケッチから水彩画へ

時短スケッチから水彩風景画へ

これまでも紹介してきたように、現場スケッチでは30分程度でペン入れまでするようにしています。こだわりは余白を残すこと、明るい色調にすること、など――やはり「私らしさ」を作品に込めたいけれども、現場だと落ち着かないので、着色は家で行うことが多いです。現場で時間がかかりすぎることを避け、次のスケッチにとりかかりたい(1日に5枚くらい描くときもあるので)というのもあります。

スケッチしてきたペン画を塗るときは、やはり写真は欠かせません。ただし空の色や光の当たり方は独自に工夫することもあります。
グリザイユ技法といって、影の色を先に塗ってしまうこともあれば、建物などの色を塗ってから最後に影色を入れる場合もあります。私の影色は基本的に青紫色です。次に影だけを入れたスケッチ画と、カラーバージョンの水彩画の違いを見てみましょう。

影色だけのスケッチ画と色を入れた水彩風景画の比較

ペン入れをした後、軽く影色だけを塗ってみた

こちらの絵は影の色を入れた時点でとても良かったのでスケッチ画はこのままにして、もう1枚きちんと色を入れた風景画として水彩画用紙に別途描きました。
水彩画の方はF4サイズで、ペンを使っていません。同じ場所ですが、比べてみると面白いかと思ったので、前回の個展でも並べて展示をしました。

ペンなしの水彩画作品「水辺の町」

いかがでしょうか? 
ちなみにこの場所はアルフルール(Harfleur)という町ですが、印象派のデュフィが同じ場所を描いていました。こちらは100年ほど前に描かれた油絵ですが、風景がほとんど変わっていないのもフランスらしいですね!

デュフィの描いた油絵

スケッチでは描ききれない場合は写真から水彩画に

私はペンを使ったスケッチ画を「できるだけ現場で描く」と決めてスケッチに出かけます。
しかし、建物が大きく複雑すぎて時間がかかり過ぎる、観光地などで同じ場所に立って描くことも難しい場合もありますよね。そんな時は写真を撮って、家で水彩画としてゆっくり描くことにします。
今回のフランス旅行も、パリでは写真だけ撮って帰った場所がたくさんあります。まだまだ描きたい場所があるので、じっくり取り組もうと思っています。

観光客の多い街中ではスケッチするのもなかなか難しい