スケッチと水彩風景画 ~私の場合~

絵のための取材=美しい風景をカメラに収める

今回のフランスへの旅は、スケッチとともに取材が大きな目的でもありました。現場でサラサラと描くスケッチとは別に、じっくり時間をかけて取り組む水彩画の制作のため、パリの街を歩き回り写真を撮りまくりました。1日に100枚以上の写真を撮ったので、総数は1300枚を超え、帰国してようやく整理することができました。その中から実際の制作に使うものを厳選し、夏の展覧会に向けて本格的に創作活動に入る予定です。

モンマルトルの様子

スケッチと水彩風景画との違い

スケッチ画と水彩画との大きな違いは、やはり制作にかける時間の差。パリに並ぶ6階建ての建物は1階にカフェなどのお店が入り、「絵になる」素敵な風景でしたが、短時間のスケッチでは到底無理。あとでゆっくり描こうと写真にとって、時には動画で雰囲気を掴み、それを題材に描くことにしました。
私の場合、スケッチではペンの線を使って形を描き、色は軽く塗る程度で仕上げます。そのため軽くて小さめのA4スケッチブック(マルマン)を愛用していますが、水彩画にする場合は、ペンを使わず水彩絵具だけで表現するため、色がしっかり入ると評判のウォーターフォード水彩画用紙を使用、大きさも題材によってF4からF10までいろいろです。もちろん時間も1日から数日かかるため、パリ滞在中に描き始めた作品も仕上がることなく持ち帰りました。

売られているパリの風景画も魅力的

意外と少なかった絵描きたち

絵になる風景がたくさんあるパリではスケッチをしている人も多かろうと思ったのですが、残念ながらほとんど出会うことはありませんでした。もちろん絵を描いて売る画家の多いことで有名なモンマルトルのテアトル広場に行った時は別ですが。
スケッチをするときは安全面を考えて後ろに壁があるところに立ち、荷物はしっかりと身につけて描きました。フランス語が喋れなさそうな東洋人ですので、声をかけてくる人もほとんどなく、意外と楽に集中してスケッチができました。私がフランス語を話せるとわかり、やたらと話しかけてくる散歩中のおばあちゃんもいましたが、スケッチに集中したい場合はシャッターを閉じて(比喩です)描く方が良いかもしれませんね(笑)

パリの街角