MOA美術館「光る海―吉田博展」鑑賞と模写

大好きな風景版画家・吉田博の作品展

20世紀前半に活躍した木版画家・吉田博。日本の浮世絵の流れもありつつ、油絵や水彩の技法も取り入れた独自の風景画作品が大好きで、先日MOA美術館の企画展に行ってきました。
以前も吉田博展を開催しているので、MOAは多くの作品を所蔵しているのでしょう。日本だけでなくエジプトやインド、アメリカなど外国の風景も含め、約70点もの作品を見ることができました。今回は吉田博がモチーフとした場所の現在の写真も添えられ、日本であれば広島・鞆の浦などの建物はおよそ100年前から大切に守られてきたことが分かり、風景画家として私も訪れたくなりました。
「光る海―吉田博展」は熱海のMOA美術館にて1月27日まで。

同じ場所を異なる時間帯に見る

チラシにも掲載された瀬戸内海の帆船は、刻一刻と変わる表情の違いを(おそらく)同じ版木で異なる色合いに刷り分けシリーズ化されています。(この作品に寄せた場所で帆船を借りて昨年撮影したという写真も見事でした。)
同じ場所を季節や時間を変えて描いた作品としては、モネのルーアン大聖堂のシリーズもありますが、風景画としてはとても興味深いですね。私自身も旅先ではなく「いつでも行ける」地元の風景を、季節や天候、時間などを変えて描いてみたいものだと思います。それこそが地元在住の風景画家のアドバンテージでしょう。

今回の企画展チラシより

吉田博の作品「光る海」に寄せて

今回の展覧会チラシの光る海の作品がとても気に入ったので、水彩で模写してみました。
「光を感じる絵」と「海」は最近の私のテーマでもあります。海の近くに暮らす者として、常に重要なモチーフである海ですが、なかなか一筋縄ではいかないのが正直なところです。吉田博の版画は、一つの作品に対して数多くの版木が用意され、ひとつの作品を制作するのに30回以上、多い時は100回も刷るらしいのですが(!)、柔らかなピンクと水色のグラデーションや光の粒や船の映り込みなど、どんな版木でどんな順で刷られたのか想像もつきません。ただただ美しい光を感じる海の絵です!
私のこちらの作品は船を現代風の漁船に変え、光の粒は2回のマスキングで違いを出し、ピンクや水色を時間を置きながら何度も重ねていきました。空を塗り過ぎたこと、グラデーションを水彩らしい表現に変えた部分もありますが、模写することで「作品の作り方」をなんとなく理解できたような気がしました。

吉田博の作品に捧げて描いてみた