地元をスケッチするということ

個展「井上秋子スケッチ画展」を終えて

8月8日に始まった湯河原のギャラリーマダムミヨコでの個展は無事に8月28日をもって終了いたしました。今回は、熱海の水彩画教室の教室作品展が熱海の市街地にある間瀬・咲見町店で同時開催ということもあり、なかなか忙しくも充実した3週間でした。暑い中お運びくださった皆様、まことにありがとうございました。

ギャラリーマダムミヨコ

思えばマダムミヨコとともにギャラリーの相談を始めたのは6月ごろ。東京・世田谷で26年エステサロン「アフロディテ」を経営してきたマダムが昨年湯河原へ店舗を移転、サロンの手前側にギャラリースペースを作ったのが始まりです。普段はマダム自身のアクリル画作品を展示し、東京などからエステサロンに通うお客様だけが見ることのできる私設のギャラリーでした。
私の生徒さんでもあるマダムが、今回、私の作品展示に場所を提供してくれることになり、名前もなかったところから、マダムの名前を冠したギャラリーが誕生、看板を準備、チラシ制作などを相談しながら進めていきました。
隠れ家的なエステサロンにギャラリーがあることは、もちろん地元の人も知らない存在でしたので、今回3週間ほどオープンできたことで、少しずつ認知されていくと良いなと思っています。
今後はギャラリーマダムミヨコの展示内容を知ることのできる公式LINEもできる予定だそうです。もちろんマダムミヨコの本業であるエステサロンも口コミで少しずつ広がりつつあります。

ギャラリーマダムミヨコ×アトリエおらんじゅ

地元のスケッチ画家として

湯河原駅を出て右側へ緩やかな坂道を降りるように続く駅前商店街、交番を過ぎて店舗が途切れる東海道線の高架までの間にあるギャラリーマダムミヨコ。五所神社あたりまでは駅から徒歩圏ということもあり、道行く人々、地元の方や観光客が覗いてくれることもあり、なじみ深い地元の風景スケッチに会話が弾みました。
今回の個展はこれまでのカフェでの展示と異なり、開催期間中はずっとギャラリーに在廊していたため、訪れたお客様とお話しする時間を特に楽しめました。展示内容が真鶴から吉浜、五所神社から温泉場へと、さながら観光案内のように並べ、個々の絵に自分なりの紹介文も付けました。地元の方には見知った風景ばかりで、写真とは違った、手書きの絵の良さを感じていただいたように思います。

何気ない風景を絵にする――これは風景画家である私の目指すところでもあるので、「絵にすると湯河原も素敵なところね」と言っていただくと本当に嬉しいです。湯河原・真鶴の良さを、スケッチを通じてもっと広めていけたらと思います。ペンを使った水彩スケッチは印刷にも向くので、パンフレットなどへの掲載も可能です。
お盆期間中は酷暑だったこともあり、ギャラリーで暇な時間もありました。そんな時はギャラリーの目の前にある魚屋ほまれさんを始め、肉の浅井さん、煎餅のぷち・こめやさんなどをスケッチ。期間中に注文して初めて食した、ほまれさんのお刺身や浅井さんのローストビーフが美味しかったなどなどギャラリーのお客様と情報交換になることも。
今回の展示を見て、「うちの店も描いて欲しい」「うちにも絵を飾りたい」などありがたいお話もいただきました。湯河原・真鶴でもまだまだ描きたい場所がたくさんあります。同じ場所でも、季節や時間帯で違う表情を見せることもあります。地元のスケッチ画家としての長い道のりはまだ始まったばかりです。