娘が美大生に! 美大受験と入学に向けた準備

絵を描くのが好きな女の子

この春、我が家の娘が武蔵野美術大学に入学しました。
※このブログでは、お子さんが美大を目指しているという保護者の方の視点に立って、少しでも役に立つ情報をお伝えしたいと思いますので、興味のない方は長いのでスルーしてくださいね。(2024年時点です)

娘は小さいころから絵を描くのが好きでした。小学校時代は夏休みの絵のコンクールで入賞することもしばしば。とは言え、可愛くてカラフルな色使いという子供らしい絵。これと言って飛びぬけて才能があったようには感じませんでした。
中学時代、アメリカの短期のサマースクールに送り出しました。英語が分からなくても、絵なら世界共通の言語なのでアートクラスに入り、大きなキャンバスにアクリル画を1日1枚描いてきました。
なんとなくアメリカンなポップなイラストを描くようになったのは、彼女自身が幼少期(2歳から7歳まで)を過ごしたアメリカ文化の影響なのでしょうか。
高校に入ると学校で体育祭や文化祭のポスターやチラシ、Tシャツの校内コンペで次々と彼女のポップなデザインが採用されました。こうした体験が「デザイン」という分野に興味を持つことに繋がったのかもしれません。

美大受験専門予備校と高校のダブルスクール

「美大を受験したい」と言い出したのは高校1年生の時で、美大受験専門の予備校で夏期講習に参加しました。その後、2学期から週2回ほど放課後に予備校に通い出しました。
さらに高2からは週6日(月~土)、高3生と混じって本格的に受験に向けた準備を始めました。「スタートは早い方が良いんじゃない?」という娘の言葉で「ダブルスクール」が始まったわけです。
予備校は夕方5時ごろに始まり、3時間ほどひたすら実技。学科によりますが、石膏デッサンやアクリル絵具による色彩構成などに取り組みました。講評は、先生方の判断で上手い作品が上段に並ぶので、実力の差が一目瞭然となるそうです(進学塾では成績で席順が決まるみたいに)。
帰宅するのは夜の9時ごろ。上手くいったのかいかなかったのか、娘の顔を見ればすぐに分かりました。良い時も悪い時もあるさ♪と、美味しい夕飯を用意するのが私の役目でした。
ダブルスクールは経済的な面も同様で、予備校は年間50~60万くらい(娘は予備校の特待生に選ばれましたが、ほんの数万円のお値引きがあるだけでした)。これに長期休暇中の特別講習が1週間2万円くらいで追加されます。鉛筆や絵具など画材は予備校で買えますが、年間いくらくらい使ったのか不明です。
学習面が不安な生徒には勉強を見てくれるクラスもあります。長期休暇中は、普段は会うことのない浪人生や他の校舎に通う生徒たちと同じ講習を受けるため刺激にもなったようです。

予備校で取り組んだ色彩構成の課題の一部

美大入試はさまざまなスタイルがある

娘は2月に行われる「一般入試」ではなく、11月ごろにある「推薦入試」を狙っていました。9月には願書を出すので、普通より半年ほど早い準備が必要です。ひとくちに「入試」と言っても、実技だけで決まるものと、書類と作品を予め提出するなど、大学や学科によって様々です。高3から予備校に通い出したとして、秋の推薦入試の時期に実力が充分ついているかどうかで、推薦にするか一般にするか決めることになるでしょう。
娘の場合は高校での進学説明会では美大受験の話がないので、7月ごろ行われた予備校での保護者面談が唯一の入試相談となりました。予備校の先生は娘の実力を買ってくれてはいましたが「推薦は運次第」というお話でした。

娘の推薦入試では、書類と事前提出の課題作品による1次審査を通過すると、2次は大学に課題作品とポートフォリオ(作品集)を持って行き、面接も行われました。
ポートフォリオには、予備校の課題作品だけでなく、自分自身で制作した作品が多くあると良いと言われ、学校のイベントで採用されたデザイン画、フランス旅行でインスピレーションを得て描いた絵画、ミシンで縫い上げた衣装、予備校の作品展で作った立体作品などを写真で入れ込みました。プレゼン形式で画像を用意し、予備校でプリント、ファイル綴じをしました。


入試当日は両手で抱えるサイズの立体的な課題作品を持参したため、私が車を運転して会場に入りました。彫刻科もある大学のためか、大きな作品の載った軽トラでの搬入もあり、県外車もたくさん来ていました。
高校の制服ではなく、自分らしい服装で来ている生徒がほとんどで、顔にペイントするなど自分自身が作品と化している受験生もいたとか。娘は入試自体を非常に楽しんでいました。

願書を出してから1次の結果が出るまで数週間、2次試験から最終結果が出るまで数週間かかるので、非常に長い期間落ち着かない気持ちでした。結果、「合格」をいただいたので、他の大学を受験することなく、娘の入試は終わりました。

美大入試を終えて

合格が決まると、専願なので12月には入学金と前期の授業料の支払いがありました(高い・・・)。娘は春休み中に、入学に向けて課題の作品を制作。入学式の服装もコスプレのような感じで個性的な方も多くいました。

美大受験専門の予備校では受験する学科によってクラス分けがあり、みんな受験する大学・学科をオープンに語っていたようです。先生も同じ枠を受ける生徒たちを集めてアドバイスをしてくれ、生徒同士はライバルというよりは仲良くゴールに向かって頑張っていたように感じます。
一般入試のことは詳しく分かりませんが、共通テスト利用枠がある大学・学科があったり、学科試験と実技を2~3日に渡って行うパターンなど様々です。一例ですが、国語100点・英語100点・色彩構成150点・デッサン150点の計500点で最低合格基準が350~400点といった感じ。実技は3時間のところもあれば6時間のところもあり、相当体力勝負。もちろん学力考査だけの総合大学でも同様ですが、いくつか併願すると受験料もスケジュール管理も大変ですね。合否が決まるまでは約2週間。娘が通っていた予備校ではその頃に片付けと打ち上げ(?)があり、健闘を称えあいました。

私が選ばなかった「美大」という道を選んだ娘の今後の大学生活に興味津々の私です。長々と読んでくださりありがとうございました。