世界一周中の息子、キリマンジャロ登頂

海外へ飛びだす我が家の人々(1)

息子の世界一周旅行の話をする前に、世界へ飛びだす我が家の気質について触れておきたいと思います。
すでにご存じの通り、アメリカ暮らしが長かった私たちですが、夫も私も日本に住む一般的な日本人家庭のもとで生まれ育ちました。
そんな私が海外暮らしを夢見たのは小学生の頃。父は毎日新聞の記者でしたが、家族ぐるみの付き合いをしていた同僚が「海外特派員」としてバンコクへ家族で移り住んだのがきっかけです。「海外特派員」という言葉のかっこよさに惹かれ、父に是非海外へ!とお願いしたのですが、「特派員」と「国内記者」はなんだか社内のコースが違うとかで願いは叶わず…。父の転勤は国内のみで、取材で旧ソビエトから欧州へ列車で横断するくらいが父の海外経験でした。そんな家庭に育ちながら、姉は大学卒業後オーストラリアで日本語を教え、私は学生時代にフランス留学、海外生活に惹かれていたことは確かです。
海外志向なのは夫も同じで、学生時代はバックパックでタイ、ケニア、欧州を巡り、就職後は海外を飛び回る商社マンとなりました。そして、3歳と1歳の赤子を連れての海外赴任。我が家の子供たちは物心ついたとき、アメリカで暮らしていたわけです。
2013年に帰国すると同時に「帰国子女」というこれまた響きの良い資格を得た子供たちは中学受験をして進んだ英語教育を受け、英語の得意な若者に育ちました。

かわいい子には旅させよ

息子は中学時代に友人とドイツ、モンゴルへ旅行をし、コロナ禍を経て、大学生となってからは休暇中にバックパックで東南アジア、インド、エジプトなどを一人旅。「一人旅の飛行機代は出すから計画を立てよ」というのが我が家の教えであり、特に男子である息子はアジアではぼったくりにあったり、インドで騙されてパスポートを紛失したり、ガンジス川で沐浴して喉を傷めたり…などの濃い経験を生き抜いてきました。観光地を廻るというよりは、世界中の市井の人々の暮らしを知りたいという願望が強いようです。
「大学を休学して世界一周をしたい」と言い出し、就職したらなかなか叶わない現実もあるので、今年の1月から半年間、世界一周の旅に出発しました。得意な映像制作やインターンである程度お金を貯め、激安の宿に泊まりながら、幼いころ過ごしたアメリカのサンディエゴを出発点に、カナダ、ペルー、ボリビア、チリなど南米を回り、アフリカへ向かいました。
私からの注文は「問題が起こった時だけ連絡をするのではなく、楽しい旅の様子を時々聞かせて欲しい」でした。家族のグループLINEに入れたメッセージが「既読」になることだけが生存確認という状態の時もありましたが、世界一周旅行を始めてからはSNSやブログなどを更新してくれるので、私は密かに「追っかけ」をしています(笑)

興味がある方はQRコードを読んでみてください

クラウドファンディングでキリマンジャロを目指す

2月下旬、息子はケニアのマサイ族の村で何やら仕事をしながら、キリマンジャロ登頂の夢を叶えるために突如クラウドファンディングをはじめました。目標額は30万円。
子供の夢を応援したい反面、「キリマンジャロなんて登山家が行くところでしょ、無謀な!」と思い、心配でたまりませんでした。クラウドファンディングでどれだけお金を集めることができるのか、とりあえずお手並み拝見といたしました。
徐々に寄付が集まりだし、残り日数もまだまだ余裕がある時期にポンっと10万円を寄付する会社社長なども現れ、あっけなく目標金額に到達しました。そこでキリマンジャロが現実のものとなったので、心配症な私も「装備代にしてください」と5万円を寄付しました…!なんという推し活!!

そして4月上旬、息子21歳、無事キリマンジャロ登頂。
世界一周旅行も残り半分――

キリマンジャロの公式インスタグラムにも載りました(笑)