創造力と想像力

描きたい風景

私は風景画を描いています。画用紙と画材を持ってスケッチに行ったり、たまたま通りがかった風景を写真に撮ったりして、描きたいと思う風景を絵にするのが(ちょっとおおげさだけど)「天命」なのです。予期せず夕焼けが綺麗だったり、光る海原に眼を奪われたりするとき、車を運転中だったりすると本当に惜しい…同乗している家族に「今すぐスマホで写真を撮って!」と頼むこともしばしば。「今日は絵にする風景を探して取材に行こう」と思っているとなかなか天気に恵まれなかったりするのに、偶然見かけた光景が素晴らしかったりするのです。写真家の皆さんはそんな時どうしているのだろうと疑問に思いますが、私は写真家ではなくて絵描きなので、パシャパシャと何枚か撮った下手な写真を繋ぎ合わせて絵の構図にすることもあります。もちろん空の具合を変えることも、モノの位置を変えることも、影の方向を変えることも…絵だからこそできることであって、「虚構」であっても美しい仕上がりになればいい。風景として不自然でなければ。

「夏の思い出(御幸の浜)」2019 イメージしていた親子と犬を描いたところ、ある人の心に響いたようでお買い上げになりました。

創造力と想像力

風景を絵にする時、ある程度デフォルメをしたり、色を変えたりするのだから、そもそも描き手の創造性に任されていると思うのです。そこには素(もと)になる現実の世界があるのだけれど、構図を作り色のイメージを作り上げてから、作品に取りかかります。
水彩画は油絵のような重ね塗りはできないので、塗り始める前に下書きを見ながら着色する順番を頭の中で組み立てます。その作業は、この色とあの色を重ねたらどうなるか、などといったこれまでの経験がなければできないことで、筆を取る前にかなりの時間を費やします。マスキングをする場合などはとりわけ着色のイメージが重要で、想像力を最大限働かせなくてはいけません。
もちろんイメージしていた通りに作品が仕上がるかは「経験あるのみ」なのでしょうが、私の力不足でうまくいかない時ももちろんあります。そのためには練習に練習を重ねることが大切だと感じています。