基本の水彩テクニック

水彩画というと小学校や中学校の図工・美術の時間に経験するものの、意外と上手に塗るテクニックを習わずに終わってしまう。ちなみに学校で使う水彩は「不透明水彩」、大人の習い事で多いのは「透明水彩」、メディアも違う。

「薄い色から濃い色へ」
薄い色から塗り始め、段々濃い色を置いていくのは油絵とは逆。また私は黒と白を使わない。黒は3色程度の色を混ぜて表現し、白は紙の白さを塗り残すことで表現する。マスキングメディアを使うのもこのため。例外は、敢えて最後に白を入れる場合で、水彩の白では弱すぎて他の色に負けるため、アクリル絵の具の白を使用。

「色を重ねる」
水彩画は一発勝負で重ね塗りはしないと思っている人が多い。また、塗ってしまったら消せないと思っている人が多い。
それが違うんですよ! 
私の教室では何度も何度も重ね塗りをする。もちろん重ねずにチューブから出した純粋な色をキープする方が大事なこともある。同じ色を重ねることもあれば、違う色を重ねることで深みのある色合いを出すこともある。
消す方法もいくつかある。一番びっくりされるのは「ゲキオチくん」を使うこと。

「乾いてから塗る」
隣合う別の色を塗る時に、先に塗った色が渇いていないと、当然のことながら色が混じる。混じることを意図している場合は良いが、はっきりと境界を塗り分けたいときは、もちろん乾いてから塗る。その時間的な余裕が、学校の授業ではないことが多く、思った通りにならなくて焦って塗りなおして自滅、というパターンが多かったように思う。
私の教室では時間短縮のためにドライヤーを使うこともある。ドライヤーの風で表面の絵具が飛び散ってしまわないよう、ある程度紙に浸み込んでから使う。

「にじみ/ぼかし」
水彩絵具の面白さは水の力で色が滲んでいくこと。経験を積めばある程度にじみ方を予測できるが、意図せずできた水のにじみなどは、却って作品を面白くしているような気がして、敢えて修正はしない。
塩を振るのも面白い効果が出るので時々使用する。教室でも体験してもらっている。

書ききれないほどある水彩テクニックについては記事を読むより、実際やってみるのが一番。私の教室では様々なテクニックを身につけて、自由自在に水彩絵具を操れるようになり、自分が描きたい絵を思う存分描けるようになって欲しいと思っている。